介護にアロマ 導入施設増 リラックス 快眠効果 西日本新聞抜粋

芳香成分を含むオイルを使ったアロマセラピーが介護施設で好評だ。起伏が激しい入居者の気分が落ち着いたり、眠りの質が改善したりと効果はさまざま。嗅覚を刺激することで認知症ケアに役立つとの研究結果もあり、導入するケースが広がっているという。

 公益社団法人・日本アロマ環境協会(東京)によると、アロマセラピーを社会貢献に生かすための勉強会では最近、介護施設での活動を希望する会員が増えているという。同協会の公認セラピスト西村真理子さんは1998年から病院や介護施設への出張セラピーを始め、介護向けのアロマ教室も開催している。「認知症の父にアロママッサージをすると目が輝き、肌つやも良くなったんです。会話ができなくても喜んでいる様子が伝わり、アロマを介護に役立てたいと思うようになりました」と話す。

 介護施設のセラピーでは、オイルを使った足や手のマッサージに加え、気化させて香りを楽しんだり、匂い袋などの小物を作ったりする。アロマが認知症ケアに効果があるとする研究が知られるようになったこともあり、この数年で導入する施設が増加。西村さんは現在、主宰するスクールの生徒と共に首都圏の13施設に出張しているという。

 「アロマの香りによって気分が和らぎ、行動が落ち着くケースもあります。嗅覚が鈍って香りが分からなくても、マッサージをしながらの会話や触れ合いは五感の刺激につながります」と西村さん。原則有料で、希望する入居者やその家族が施設を通じて依頼。金額は、足を中心としたマッサージで1回当たりの値段は2千~4千円程度という。

 西村さんが月2回訪れる老人ホーム「レストヴィラ狛江」(東京都狛江市)では、入居している51人のうち10人前後が約30分間、セラピストと会話を交えながらアロマオイルを入れた湯での足浴やマッサージを受ける。入居者の女性(93)は「足が温まって気持ちいいの。いつも楽しみにしています」と笑顔を見せる。

 同ホームのアクティビティー担当職員の岡村千栄子さん(43)は「セラピーを受けると冷えや不眠が改善し、気分も穏やかになる人が多いですね」と喜ぶ。「日常業務が忙しい職員はアロマの勉強まではなかなか手が回りません。セラピストの方に出張してもらうことで、入居者は心ゆくまでアロマが楽しめますし、外部の人との会話がいい刺激になって不安や孤独も和らぐようです」と話している。

 ●マッサージを奉仕活動九州でも

 日本アロマ環境協会によると、九州でも介護施設で活動する人は増えている。

 同協会公認のアロマセラピスト三牧直美さん(57)=熊本市北区=は2007年から月1回、市内の特別養護老人ホームやデイケアを訪れ、高齢者にアロマオイルを使ったハンドトリートメントを施している。季節に合わせた香りを室内に漂わせ、鎮静効果があるとされるラベンダーの香りのオイルで手をマッサージする。施術中に眠る高齢者、「いい香り」と喜ぶ職員もいる。活動はボランティアで「1日でもよく眠れたり、元気が出たりすればうれしい」と三牧さん。

 福岡県宗像市のアロマインストラクター松雪美由紀さん(48)も昨年から月2回、同県福津市のデイケアで高齢者の手足、肩などを香りをかいでもらいながらマッサージしている。利用者には「肌がすべすべになったよう」などと好評という。実費のみを施設に負担してもらうボランティア活動だ。

 松雪さんは同協会のアロマインストラクターら5人でアロマセラピーをするボランティアグループ「あろぼら」に所属し、福岡県を中心に病院や介護施設など4カ所を訪問している。要望があれば、条件が合う施設などにボランティアで赴く。


=2015/09/03付 西日本新聞朝刊=